2006-02-09 Thu
この〈これからの市営住宅〉という項目タイトルでは、飯能市役所に取り組んで欲しい「新しい発想の市営住宅」について書いていきます。
30年も40年も前なら、飯能市に限らず、お粗末な民間の木造賃貸アパートと比べて「新しくて広くて綺麗で設備が良くて家賃が安い」市営住宅には入居希望者が殺到しました。だから抽選で入居できた人は本当に「幸せ」でした。
しかし、この市営住宅は、まず市民の間に「不公平」を生み出しました。一度入居した人が、まるで「自分の持ち家」であるかのように、いつまでも「住み続ける」ので抽選に外れた人がなかなか入居できないからです。
ところが、既に市営住宅に入居している人は「抽選で決めたのだから公平だ」と思っています。しかし、本当にこれは公平なことでしょうか?
災害後の仮設住宅のように入居希望者が最終的には全員入居できるのであれば、「入居の順番を決める」ための抽選は公平です。しかし、市営住宅に30年も40年も住み続けている人がいる一方で、抽選に当たらないからと何年も待たされ、結局は一生入居できない人もいるのです。
市営住宅の数が不足しているのなら、「順番に全員入居できるようにする」ことが本当の「公平」ではないでしょうか? そのためには、入居希望者が居るのに空きが無い場合は、古くから入居している人が退去して、その後に新しい希望者が入居する、というのが、本当の「公平な運営」ではないでしょうか?
しかし、そのような「公平な運営」をすると、退去しなければならなくなった入居者は「不当だ!」と憤ります。「居住権」という名の「既得権」を振りかざして裁判を起こす人も少なくありません。こういう人は「入居したくても入居できないでいる人」の犠牲の上に自分だけが「甘い汁」を吸っているという事実を認めようとはしないのです。
ところが最近は、これも飯能市に限ったことではありませんが、市営住宅に入居を希望する人が少なくなりました。中には空き家のまま入居者が埋まらないものもたくさん出てきたのです。
その理由は簡単です。民間の賃貸住宅と比べて「古くて、狭くて、汚くて、設備が悪くて、臭くて、不便な所に在る」市営住宅を希望する人がいなくなったからです。それでも住み続けている人がいるのは、「家賃が安い」からだけの理由です。中には「住み慣れた部屋を離れたくない」という人もいるでしょうが、そう思うほど長期に入居しできた人の陰には、「入居できなくて泣いた」人たちがいるのです。
自治体にはすべての老朽化した市営住宅を早急に建て替えるだけの財源が潤沢に有るわけではありません。新しく建て替えたとしても、前の入居者を「既得権」としてそのまま入居させるのでは「不公平」を長引かせるだけのことです。
よく考えてみると現在の市営住宅は下記のような「不幸」の固まりなのではないでしょうか。
1.入居者には「古くて狭くて汚い」住宅に居なければならない不幸
2.入居希望者には、「空き」がなくて一度も入居できない不幸
3.市役所には、手間と維持費がかかる割には文句を言われる不幸
4.担当職員には、楽だけどもやりがいの無い仕事に就いている不幸
上記以外にも、市営住宅が有るがために入居者が埋まらない民間賃貸住宅の大家も不幸を嘆いているかもしれません。
しかも、この「不幸」は、同じ入居を希望する市民なのに長期入居の人と、一度も入居できない人も居るとう「不公平」を伴っているのです。
つまり、昔は住民に「夢」と「幸福」をもたらした市営住宅も、いまはもう関係する誰もが「不幸」になってしまう仕組みになってしまったのです。「従来のような市営住宅はもう止める時が来た」と思っているのは私一人だけでしょうか。
次回(第02回)以降は、関係する誰もが「幸福になる市営住宅の仕組み」を模索していきたいと思っています。
続き▽
2006-02-18 Sat
この〈これからの市営住宅〉という項目タイトルの第01回「古くて狭くて、汚くて不便で不公平な市営住宅はもう終わりにしよう」ということを書きました。
第02回のきょうは、そもそも「公営住宅」というのは、
「住宅困窮者を救済する、自治体が義務として負っている福祉」なのか?
それとも、
「住民に対する任意の行政サービス」なのか?
ということについて書いてみました。
現在、「自治体の義務である福祉」としての生活保護制度は、受給資格の有る対象者に対しては差別なく全員に定められた金額を支給しています。「定員という枠」を設けて、抽選で決めるようなことはありません。
もし、公営住宅が、生活に困窮している飯能市民に対する「福祉」であるなら、対象者全員を入居させるべきでしょう。「抽選」などで「早く入居できる人」「いつまでも入居できない人」という「差別」があってはなりません。
しかし、現在、「入居資格者全員」を公平に公営住宅に入居させている自治体は無いのですから、たぶん、住民に対する公営住宅の提供は「自治体の義務」ではなく、住民に対して、良かれと思って提供している「行政サービスの一つ」なのでしょう。
公営住宅の数が入居希望者を下回っている場合は、何らかの基準で「入居できる人」と「入居できない人」を選別しなければなりません。現在、殆どの自治体では公営住宅への入居制限を「所得金額」と「抽選」で決めています。
公営住宅の入居資格の一つである「所得制限金額」で、いつでも、どこの自治体でも揉めるのは、この所得制限金額の「信憑性」です。「本当に市営住宅の入居条件を満たす低所得者なのか」という判定が簡単ではないからです。
いままで、生活保護を受けていた人の中には、自分の「本当の懐具合」を偽って生活保護を受給する人もいました。でも、それはあくまでも「詐欺罪」という犯罪なのですから、露呈したら刑事罰を受けることになります。
しかし、いま公営住宅では「入居資格である所得制限」を大幅に上回っている人が少なくありません。それは「市営住宅に受給資格を偽って入居し続ける」程度では「詐欺罪」が適用されないからでもありますし、そういう人たちに「公営住宅から退去させる」ことが簡単にはできなくなっているからでもあります。
私自身は「公営住宅は福祉ではない」と思っています。本当の生活困窮者には生活保護費が支給されています。その金額から「住宅費」に幾ら使うかは当人が決めればいいことです。食費やその他の生活費を削って月10万円の家賃の賃貸住宅に住もうと、月1万円の家賃に住んで食費や生活費を充実させよと、それは当人の価値観で決めればいいことだと思っています。
上記のように書くと、たぶん、一部の人は私のことを「お前は弱者のことを考えていない傲慢な人間だ」と非難するでしょう。でも、これは「私の本音」ですから、非難される程度のことは構いません。もし、私がなんらかの選挙に「立候補しよう」と考えていれば、誤解されて反発される可能性のある「本音」はとても書けないでしょう。
もちろん、支給される生活保護費では「最低限の人間らしい生活はできない」と言う人も居るでしょう。それは「生活保護費として支給する金額」を「増加するか否か」の問題であって、公営住宅とはまったく関係ないことではないでしょうか?
公営住宅の数に限りがあって、入居希望者が常に「待機している」状態であるなら、公平で、関係者全員が納得できる仕組みが必要です。
第01回では、「いまの公営住宅は誰もが不幸になっている」ということを書きました。今回は「公営住宅は福祉とは別の制度だ」と書きましたので、第03回では「誰もが幸福になる仕組み」について書きたいと思っています。
第02回のきょうは、そもそも「公営住宅」というのは、
「住宅困窮者を救済する、自治体が義務として負っている福祉」なのか?
それとも、
「住民に対する任意の行政サービス」なのか?
ということについて書いてみました。
現在、「自治体の義務である福祉」としての生活保護制度は、受給資格の有る対象者に対しては差別なく全員に定められた金額を支給しています。「定員という枠」を設けて、抽選で決めるようなことはありません。
もし、公営住宅が、生活に困窮している飯能市民に対する「福祉」であるなら、対象者全員を入居させるべきでしょう。「抽選」などで「早く入居できる人」「いつまでも入居できない人」という「差別」があってはなりません。
しかし、現在、「入居資格者全員」を公平に公営住宅に入居させている自治体は無いのですから、たぶん、住民に対する公営住宅の提供は「自治体の義務」ではなく、住民に対して、良かれと思って提供している「行政サービスの一つ」なのでしょう。
公営住宅の数が入居希望者を下回っている場合は、何らかの基準で「入居できる人」と「入居できない人」を選別しなければなりません。現在、殆どの自治体では公営住宅への入居制限を「所得金額」と「抽選」で決めています。
公営住宅の入居資格の一つである「所得制限金額」で、いつでも、どこの自治体でも揉めるのは、この所得制限金額の「信憑性」です。「本当に市営住宅の入居条件を満たす低所得者なのか」という判定が簡単ではないからです。
いままで、生活保護を受けていた人の中には、自分の「本当の懐具合」を偽って生活保護を受給する人もいました。でも、それはあくまでも「詐欺罪」という犯罪なのですから、露呈したら刑事罰を受けることになります。
しかし、いま公営住宅では「入居資格である所得制限」を大幅に上回っている人が少なくありません。それは「市営住宅に受給資格を偽って入居し続ける」程度では「詐欺罪」が適用されないからでもありますし、そういう人たちに「公営住宅から退去させる」ことが簡単にはできなくなっているからでもあります。
私自身は「公営住宅は福祉ではない」と思っています。本当の生活困窮者には生活保護費が支給されています。その金額から「住宅費」に幾ら使うかは当人が決めればいいことです。食費やその他の生活費を削って月10万円の家賃の賃貸住宅に住もうと、月1万円の家賃に住んで食費や生活費を充実させよと、それは当人の価値観で決めればいいことだと思っています。
上記のように書くと、たぶん、一部の人は私のことを「お前は弱者のことを考えていない傲慢な人間だ」と非難するでしょう。でも、これは「私の本音」ですから、非難される程度のことは構いません。もし、私がなんらかの選挙に「立候補しよう」と考えていれば、誤解されて反発される可能性のある「本音」はとても書けないでしょう。
もちろん、支給される生活保護費では「最低限の人間らしい生活はできない」と言う人も居るでしょう。それは「生活保護費として支給する金額」を「増加するか否か」の問題であって、公営住宅とはまったく関係ないことではないでしょうか?
公営住宅の数に限りがあって、入居希望者が常に「待機している」状態であるなら、公平で、関係者全員が納得できる仕組みが必要です。
第01回では、「いまの公営住宅は誰もが不幸になっている」ということを書きました。今回は「公営住宅は福祉とは別の制度だ」と書きましたので、第03回では「誰もが幸福になる仕組み」について書きたいと思っています。
2006-02-22 Wed
第02回では、「公営住宅は福祉とは別の分野の行政サービスではないか」ということを書きました。第01回に書いた「関係する誰もが不幸になってしまう」現在の公営住宅の仕組みの原点も、「福祉と混同している」ことがその遠因だと思っています。
そこで、第03回のきょうは、市営住宅を福祉ではなく、公平な行政サービスとして位置づけたうえで、「不公平で不幸な市営住宅の仕組み」を「公平で幸福な市営住宅の仕組み」に変える方法の一つである「上限の無い傾斜家賃制度」について書いてみました。
「傾斜家賃制度」というのは、市営住宅の家賃を一年ごとに定額か定率で上昇させていく仕組みです。例えば、定額で上昇させていく場合は下記の通りです。
民間アパートで家賃10万円が相場の「場所と広さ」の市営住宅の初年度の家賃を6万円にして「住宅に困窮している人」が入居しやすくします。入居後の家賃はその後毎年、7万円、8万円、9万円というように1万円ずつアップしていきます。上昇し続ける家賃を支払える限り、その住宅に住み続けることができます。
この方式だと、初年度の家賃は、周囲の相場よりもかなり安いのですから「低所得者用の市営住宅」の役割を果たします。しかし、5年目には周辺の相場並みの家賃になり、6年目からは相場よりも高くなっていくのです。入居者にしてみれば「長年住み慣れた部屋」だとしても、相場よりも高い家賃にバカらしくなって、いつかは自ら退去していくことになります。
つまり、「上限の無い傾斜家賃制度」とは、役所が無理に退去を求めなくても、入居者が自分から自然と退去していく仕組みになっているのです。その退去した後には、新しい希望者がまた初年度家賃の6万円で入居できます。そして、その人も、必ず退去していくことになります。強制ではありません。その「市営住宅」にいつまで入居し続けるかは本人が決めてくれることです。
もちろん、中には、相場よりも高い家賃になっても住み続ける人もいるでしょう。そうなったとしても、それだけ相場よりも高額の家賃が市役所に余分に入ってくるのですから、それは「市役所ビジネスの売り上げ増に貢献してくれる大切なお客さま」です。収益は新しい市営住宅を建てる財源にすればいいのです。
この「傾斜家賃制度」の良い点は、「永久に居座り続ける入居者」を生まないことです。毎年必ず「退去者」があるので、「順番待ちの人」も必ず入居できることです。これが本当の「公平な運営」ではないでしょうか?
高い家賃に耐えかねて退去した人が、それでもまだ市営住宅に住みたいのであれば、また入居を申し込めばいいのです。その場合は「公平」ということの扱いが問題にされるでしょう。なぜなら下記の二通りの考えがあるからです。
A・希望者が一巡するまでは「一度入居した人」は抽選に参加できない
B・「抽選自体が公平」なのだから誰でも何度でも抽選には参加できる
しかし、いずれにせよ、「提供できる市営住宅の数」が「入居希望者を上回る」場合は、抽選が行われることになります。
そして抽選に当たるまでの間は民間の賃貸住宅に住めばいいのです。入居希望者の全員が、入居できるまでは民間の賃貸住宅に住んでいるのですから、これが「公平な措置」ではないでしょうか。
市役所の財政に制限があって、希望者全員を入居させられずに「空き待ち」の人が居る現状では、「既得権者だけが得をする」現行方式よりも、この「上限の無い傾斜家賃制度」のほうが公平だと思います。どうでしょうか?
次回は、「関係する人が幸福になる市営住宅の仕組み」のもう一つの方法である「良質住宅借り上げ方式」について書いてみます。
そこで、第03回のきょうは、市営住宅を福祉ではなく、公平な行政サービスとして位置づけたうえで、「不公平で不幸な市営住宅の仕組み」を「公平で幸福な市営住宅の仕組み」に変える方法の一つである「上限の無い傾斜家賃制度」について書いてみました。
「傾斜家賃制度」というのは、市営住宅の家賃を一年ごとに定額か定率で上昇させていく仕組みです。例えば、定額で上昇させていく場合は下記の通りです。
民間アパートで家賃10万円が相場の「場所と広さ」の市営住宅の初年度の家賃を6万円にして「住宅に困窮している人」が入居しやすくします。入居後の家賃はその後毎年、7万円、8万円、9万円というように1万円ずつアップしていきます。上昇し続ける家賃を支払える限り、その住宅に住み続けることができます。
この方式だと、初年度の家賃は、周囲の相場よりもかなり安いのですから「低所得者用の市営住宅」の役割を果たします。しかし、5年目には周辺の相場並みの家賃になり、6年目からは相場よりも高くなっていくのです。入居者にしてみれば「長年住み慣れた部屋」だとしても、相場よりも高い家賃にバカらしくなって、いつかは自ら退去していくことになります。
つまり、「上限の無い傾斜家賃制度」とは、役所が無理に退去を求めなくても、入居者が自分から自然と退去していく仕組みになっているのです。その退去した後には、新しい希望者がまた初年度家賃の6万円で入居できます。そして、その人も、必ず退去していくことになります。強制ではありません。その「市営住宅」にいつまで入居し続けるかは本人が決めてくれることです。
もちろん、中には、相場よりも高い家賃になっても住み続ける人もいるでしょう。そうなったとしても、それだけ相場よりも高額の家賃が市役所に余分に入ってくるのですから、それは「市役所ビジネスの売り上げ増に貢献してくれる大切なお客さま」です。収益は新しい市営住宅を建てる財源にすればいいのです。
この「傾斜家賃制度」の良い点は、「永久に居座り続ける入居者」を生まないことです。毎年必ず「退去者」があるので、「順番待ちの人」も必ず入居できることです。これが本当の「公平な運営」ではないでしょうか?
高い家賃に耐えかねて退去した人が、それでもまだ市営住宅に住みたいのであれば、また入居を申し込めばいいのです。その場合は「公平」ということの扱いが問題にされるでしょう。なぜなら下記の二通りの考えがあるからです。
A・希望者が一巡するまでは「一度入居した人」は抽選に参加できない
B・「抽選自体が公平」なのだから誰でも何度でも抽選には参加できる
しかし、いずれにせよ、「提供できる市営住宅の数」が「入居希望者を上回る」場合は、抽選が行われることになります。
そして抽選に当たるまでの間は民間の賃貸住宅に住めばいいのです。入居希望者の全員が、入居できるまでは民間の賃貸住宅に住んでいるのですから、これが「公平な措置」ではないでしょうか。
市役所の財政に制限があって、希望者全員を入居させられずに「空き待ち」の人が居る現状では、「既得権者だけが得をする」現行方式よりも、この「上限の無い傾斜家賃制度」のほうが公平だと思います。どうでしょうか?
次回は、「関係する人が幸福になる市営住宅の仕組み」のもう一つの方法である「良質住宅借り上げ方式」について書いてみます。
2006-03-15 Wed
きょうは、「市営住宅において関係する誰もが幸福になる仕組み」の一つである「民設公営の原点」について書いてみました。
民設とは「企業や資産のある個人が住宅を建設する」ということです。
公営とは「民設の住宅を市役所が借り上げ、それを市営住宅として市民に貸す」ということです。
この「民設公営」住宅には、〈これからの市営住宅〉第01回(2/9)で書いた「関係する誰もが不幸になってしまうのが現在の公営住宅」にはないメリットがたくさんあります。その主なことを下記に列挙してみました。
1.住宅建設に市の予算を使わずに済む
例えば、土地代と建物代で3000万円の市営住宅を100戸建築すると30億円の市税が必要です。ところが「民設」であれば、それは市内の企業や資産家個人が建てるのですから、市としての建設費は1円も必要ありません。あえて言えば、民設住宅を建てたい企業や個人に対する説明会の開催経費だけでしょう。
2.税金を投入せずに地元に「公共事業」を興せる
市営住宅として借り上げられることを期待して市内で発生する建築工事は、実質的には「公共事業」と同じ経済効果を地元にもたらします。市が借り上げる対象を「飯能市内に事業所のある企業と飯能市に住民登録している市民」に限定し、さらに「施工は飯能市内の建設業者に限る」ことにすれば、これはもう「公共事業」そのものでしょう。
公共事業が批判される理由で多いのは、a無駄な工事bずさんな工事c大手企業を利するだけ、ということですが、「民設公営」ではそれを避けられるのです。
3.市役所が設計するよりも良質な住宅が建てられる
民設公営と言っても、民間が建てた住宅を無条件ですべてを借り上げるわけではありません。市民が「この住宅に市営住宅として入居したい」と希望する住宅だけに限定されます。
入居希望者が期待できないような「駅からの距離」「駐車場の有無」「陽当たり」「周囲の生活環境」「延べ床面積」「間取り」「住宅設備」などが、ある程度のレベル以上でなければ、借り手は付かないでしょう。
民間の「建て主」も、この程度のことは容易に想定できることですから、市営住宅として市に借り上げてもらうためには、とくに市が指導監視をしなくても、借り手が付く良質な住宅を建てるようになるのです。
4.市役所が施工監理をしなくても手抜き工事を排除できる
市営住宅と言っても「民設公営」住宅は、建て主の個人的な資産なのですから、その建設にあたって市役所が「施工監理」をする必要はありません。通常の建築確認だけで済みます。
なぜなら、「手抜き工事をされて困る」のは施主なのですから、それらの監督責任は黙っていても施主がやります。
あるいは、民設公営の住宅提供者を「市内の建設業者に限定」するのもいいでしょう。なぜなら、自分の資産である建物に手抜き工事をする業者は絶対に存在しないと言い切れるからです。
5.市営住宅に必要な戸数がいつでも確保できる
もし、市営住宅を従来通りに公設で建てるとすると「年間予算に組み込んで市議会の可決が必要」になります。そうなると、例えば、平成18年度の予算には組み込まれていませんから、いまからでは平成18年度は一戸も建てられません。
平成19年度の予算に組み込んだとしても、市議会に諮れば「反対する議員」は必ず出てきます。その予算が可決されたとしても、実際の建設が始まるのは、平成19年4月以降になってしまいます。
この民設公営は新築住宅に限らず、既存の空き住宅でもOKなのですから、市役所がいますぐ募集をすればいいのです。ご存知のように飯能市内には良質な住宅でも空き家になっている戸建てや集合住宅はかなり多いのですから、いますぐにでも必要な戸数は確保できるのです。
6.市内の大家(個人・企業)にとっては新たな収入源になる
空き家のままになっている賃貸用住宅が「民設公営の市営住宅」になることによって、入居者が埋まれば、大家さんにとっては、いままでゼロだった家賃収入が、多少下がったとしても、確実な金額が保証されます。
市内に土地を所有していても、未知の事業にはリスクが怖くて踏み切れないでいる資産家も民設公営の市営住宅なら安心して着手できるので、それが新たな事業収益源になります。
7.老朽化した住宅をすぐに新築住宅に転換できる
どこの自治体も老朽化した市営住宅の建て替えに苦労しています。建て替えの対象にしたい市営住宅の入居者に「民設公営対象住宅リスト」の中から自由に選んで希望する物件に移転してもらえばいいだけです。
現在、我慢して住み続けている「古くて、狭くて、汚くて、不便な場所に在る」市営住宅から、「古くなくて、広くて、綺麗で、便利な場所に在る」民設公営住宅への転居を拒否する入居者はいないでしょう。
8.老朽化した市営住宅は更地にして売却し、市の財源に組み込む
民設公営住宅の仕組みが定着すれば、従来のような、市有地に市の予算で建設して、市の職員が管理しなければならない市営住宅はもう不要になるでしょう。
老朽化して不要になった市営住宅は公売しましょう。建物のまま売り出せば、民間企業が買い取って、自社用の寮にするか、改装して事業用賃貸住宅にするでしょう。それで売れなければ更地で売り出せば、社屋や工場用地として購入する企業もあるでしょう。売却代金はもちろん、市の貴重な財源になります。
以上の?〜?が、「市営住宅において関係する誰もが幸福になる仕組み」の一つである「民設公営」です。次の第05回では、「民設公営住宅の仕組み」を、実施する場合の時系列で説明してみたいと思っています。
民設とは「企業や資産のある個人が住宅を建設する」ということです。
公営とは「民設の住宅を市役所が借り上げ、それを市営住宅として市民に貸す」ということです。
この「民設公営」住宅には、〈これからの市営住宅〉第01回(2/9)で書いた「関係する誰もが不幸になってしまうのが現在の公営住宅」にはないメリットがたくさんあります。その主なことを下記に列挙してみました。
1.住宅建設に市の予算を使わずに済む
例えば、土地代と建物代で3000万円の市営住宅を100戸建築すると30億円の市税が必要です。ところが「民設」であれば、それは市内の企業や資産家個人が建てるのですから、市としての建設費は1円も必要ありません。あえて言えば、民設住宅を建てたい企業や個人に対する説明会の開催経費だけでしょう。
2.税金を投入せずに地元に「公共事業」を興せる
市営住宅として借り上げられることを期待して市内で発生する建築工事は、実質的には「公共事業」と同じ経済効果を地元にもたらします。市が借り上げる対象を「飯能市内に事業所のある企業と飯能市に住民登録している市民」に限定し、さらに「施工は飯能市内の建設業者に限る」ことにすれば、これはもう「公共事業」そのものでしょう。
公共事業が批判される理由で多いのは、a無駄な工事bずさんな工事c大手企業を利するだけ、ということですが、「民設公営」ではそれを避けられるのです。
3.市役所が設計するよりも良質な住宅が建てられる
民設公営と言っても、民間が建てた住宅を無条件ですべてを借り上げるわけではありません。市民が「この住宅に市営住宅として入居したい」と希望する住宅だけに限定されます。
入居希望者が期待できないような「駅からの距離」「駐車場の有無」「陽当たり」「周囲の生活環境」「延べ床面積」「間取り」「住宅設備」などが、ある程度のレベル以上でなければ、借り手は付かないでしょう。
民間の「建て主」も、この程度のことは容易に想定できることですから、市営住宅として市に借り上げてもらうためには、とくに市が指導監視をしなくても、借り手が付く良質な住宅を建てるようになるのです。
4.市役所が施工監理をしなくても手抜き工事を排除できる
市営住宅と言っても「民設公営」住宅は、建て主の個人的な資産なのですから、その建設にあたって市役所が「施工監理」をする必要はありません。通常の建築確認だけで済みます。
なぜなら、「手抜き工事をされて困る」のは施主なのですから、それらの監督責任は黙っていても施主がやります。
あるいは、民設公営の住宅提供者を「市内の建設業者に限定」するのもいいでしょう。なぜなら、自分の資産である建物に手抜き工事をする業者は絶対に存在しないと言い切れるからです。
5.市営住宅に必要な戸数がいつでも確保できる
もし、市営住宅を従来通りに公設で建てるとすると「年間予算に組み込んで市議会の可決が必要」になります。そうなると、例えば、平成18年度の予算には組み込まれていませんから、いまからでは平成18年度は一戸も建てられません。
平成19年度の予算に組み込んだとしても、市議会に諮れば「反対する議員」は必ず出てきます。その予算が可決されたとしても、実際の建設が始まるのは、平成19年4月以降になってしまいます。
この民設公営は新築住宅に限らず、既存の空き住宅でもOKなのですから、市役所がいますぐ募集をすればいいのです。ご存知のように飯能市内には良質な住宅でも空き家になっている戸建てや集合住宅はかなり多いのですから、いますぐにでも必要な戸数は確保できるのです。
6.市内の大家(個人・企業)にとっては新たな収入源になる
空き家のままになっている賃貸用住宅が「民設公営の市営住宅」になることによって、入居者が埋まれば、大家さんにとっては、いままでゼロだった家賃収入が、多少下がったとしても、確実な金額が保証されます。
市内に土地を所有していても、未知の事業にはリスクが怖くて踏み切れないでいる資産家も民設公営の市営住宅なら安心して着手できるので、それが新たな事業収益源になります。
7.老朽化した住宅をすぐに新築住宅に転換できる
どこの自治体も老朽化した市営住宅の建て替えに苦労しています。建て替えの対象にしたい市営住宅の入居者に「民設公営対象住宅リスト」の中から自由に選んで希望する物件に移転してもらえばいいだけです。
現在、我慢して住み続けている「古くて、狭くて、汚くて、不便な場所に在る」市営住宅から、「古くなくて、広くて、綺麗で、便利な場所に在る」民設公営住宅への転居を拒否する入居者はいないでしょう。
8.老朽化した市営住宅は更地にして売却し、市の財源に組み込む
民設公営住宅の仕組みが定着すれば、従来のような、市有地に市の予算で建設して、市の職員が管理しなければならない市営住宅はもう不要になるでしょう。
老朽化して不要になった市営住宅は公売しましょう。建物のまま売り出せば、民間企業が買い取って、自社用の寮にするか、改装して事業用賃貸住宅にするでしょう。それで売れなければ更地で売り出せば、社屋や工場用地として購入する企業もあるでしょう。売却代金はもちろん、市の貴重な財源になります。
以上の?〜?が、「市営住宅において関係する誰もが幸福になる仕組み」の一つである「民設公営」です。次の第05回では、「民設公営住宅の仕組み」を、実施する場合の時系列で説明してみたいと思っています。
2006-04-03 Mon
いまの市営住宅が「関係する人たちが不幸になる仕組み」に組み込まれてしまっていることは第01回(2/9)に書きました。そこで、今回は、それとは逆に「関係する人たちのすべてが幸福になる仕組み」について書いてみました。
市営住宅は「生活困窮者に限定した福祉サービス」なのか?
それとも
「市民に提供される行政サービス」なのか?
という疑問がある、
ということを第02回(2/18)で書きました。現状は、どこの自治体でも「福祉としては公平に機能していない」ので、私自身は「行政サービスの一つ」として位置づけています。
その上で、入居する市民が幸福になるだけでなく、提供する市役所も、住宅建設に関わる市内の業者も、「関係する人たちのすべてが幸福になる」というのが「理想的な市営住宅の姿」だと思い、それは具体的にどういう状態なのかを書いてみました。
まず入居者にとっての「理想的な市営住宅」とは下記のような条件を満たすものでしょう。
1.まず、自分が「望む場所」に在る
2.しかも、自分が「望む広さと間取りと設備」を有している
3.もちろん、自分が「納得できる家賃」で住める
4.そして、自分が「望む期間」だけ住める
さらに、上記のような「入居する市民」に市営住宅を提供する市役所にとって「理想的な市営住宅」とは下記のような条件を満たすものでしょう。
5.まず、住宅建設に市の予算を使わないで済む
6.しかも、住宅の修繕、改築、増築にも市の予算を使わないで済む
7.もちろん、入居希望者全員を入居させられるようになる
8.そして、管理に要する職員の手間をできるだけ省ける
市営住宅には、入居者と市役所以外にも多くの人たちが関係してきます。
まず「民設公営」の住宅を市役所に貸す大家が居ます。その人たちにとって「理想的な市営住宅」とは下記のような条件を満たすものでしょう。
9.所有する遊休地から賃貸住宅としての収入を得られる
10.しかも、「完成時から入居者がいない」というリスクを無くせる
11.さらに、現在空き家になっている賃貸用住宅に入居者を確保できる
12.そして、入居者にいつまでも「居座り続けられる」ことがない
その次が、大家から住宅建築を請け負う業者です。その人たちにとって、「理想的な市営住宅」とは下記のような条件を満たすものでしょう。
13.まず、市内での「住宅建設」の仕事が増える
14.しかも、その仕事は市内の建設業者だけが受注できる
以上は、飯能市に限らず、すべての自治体にとっての「理想的な公営住宅の姿」です。それに「飯能市の市営住宅と借り上げ対象になる住宅」に対して、「飯能市で算出された木材で建てられた住宅に限る」という条件を付けることによって、さらに下記のようなメリットも生じてきます。
15.市内の山林で育った木材が大量に使用される
16.市全域が木造住宅の可能性を追求したモデル住宅展示地区になる
以上のようなメリットが確実に期待できる「理想的な市営住宅」を実現するための方法は、次回以降に書いていくことにします。
市営住宅は「生活困窮者に限定した福祉サービス」なのか?
それとも
「市民に提供される行政サービス」なのか?
という疑問がある、
ということを第02回(2/18)で書きました。現状は、どこの自治体でも「福祉としては公平に機能していない」ので、私自身は「行政サービスの一つ」として位置づけています。
その上で、入居する市民が幸福になるだけでなく、提供する市役所も、住宅建設に関わる市内の業者も、「関係する人たちのすべてが幸福になる」というのが「理想的な市営住宅の姿」だと思い、それは具体的にどういう状態なのかを書いてみました。
まず入居者にとっての「理想的な市営住宅」とは下記のような条件を満たすものでしょう。
1.まず、自分が「望む場所」に在る
2.しかも、自分が「望む広さと間取りと設備」を有している
3.もちろん、自分が「納得できる家賃」で住める
4.そして、自分が「望む期間」だけ住める
さらに、上記のような「入居する市民」に市営住宅を提供する市役所にとって「理想的な市営住宅」とは下記のような条件を満たすものでしょう。
5.まず、住宅建設に市の予算を使わないで済む
6.しかも、住宅の修繕、改築、増築にも市の予算を使わないで済む
7.もちろん、入居希望者全員を入居させられるようになる
8.そして、管理に要する職員の手間をできるだけ省ける
市営住宅には、入居者と市役所以外にも多くの人たちが関係してきます。
まず「民設公営」の住宅を市役所に貸す大家が居ます。その人たちにとって「理想的な市営住宅」とは下記のような条件を満たすものでしょう。
9.所有する遊休地から賃貸住宅としての収入を得られる
10.しかも、「完成時から入居者がいない」というリスクを無くせる
11.さらに、現在空き家になっている賃貸用住宅に入居者を確保できる
12.そして、入居者にいつまでも「居座り続けられる」ことがない
その次が、大家から住宅建築を請け負う業者です。その人たちにとって、「理想的な市営住宅」とは下記のような条件を満たすものでしょう。
13.まず、市内での「住宅建設」の仕事が増える
14.しかも、その仕事は市内の建設業者だけが受注できる
以上は、飯能市に限らず、すべての自治体にとっての「理想的な公営住宅の姿」です。それに「飯能市の市営住宅と借り上げ対象になる住宅」に対して、「飯能市で算出された木材で建てられた住宅に限る」という条件を付けることによって、さらに下記のようなメリットも生じてきます。
15.市内の山林で育った木材が大量に使用される
16.市全域が木造住宅の可能性を追求したモデル住宅展示地区になる
以上のようなメリットが確実に期待できる「理想的な市営住宅」を実現するための方法は、次回以降に書いていくことにします。