2007-10-30 Tue
きょう(10/30)は隣の青梅市で、11月18日が投票日になる青梅市長選を前にした、立候補予定者の公開討論会が行われました。
主催は青梅青年会議所、会場は青梅市役所近くの福祉センター研修室。
定員は200人。
今回の選挙も4年前と同じ顔ぶれ。現職市長(1944年生まれ)と、新人候補(1972年生まれ)との「一騎打ち」になります。
私は新人候補のFさんとは8年前からの知り合いなのです。
前回の選挙は、負けたとはいえ、二期目の現職市長に挑んで、当時の周囲の予想を上回る得票率だったので、「次の選挙には・・・・」という期待がありました。
「現職と新人候補一騎打ち選挙」と「公開討論会の開催」には、面白い(恐ろしい)「法則」がああります。
それは、
「現職候補と新人候補の一騎打ち選挙の場合、現職候補が公開討論会の出席を断ると、その現職は落選する確率がかなり高くなる」
というものです。
(現職と複数の新人との選挙、新人同士の選挙ではこの法則は作用しません)
公開討論会とは、知名度の高い現職と、知名度の低い新人候補が「同じ土俵」で競わされるのですから、現職が「私には不利に作用する」と考えてしまうのはもっともなことです。
なぜなら、新人候補には、現職候補に対して「過去の言動や実績」を指摘し、批判することできますが、それに対して、現職候補には新人候補に関する情報が少ないからです。
確かに、新人候補は、公開討論会で現職と比較された時に「見劣りするような結果」になったとしても、あまりマイナスには作用しません。
「新人なのにがんばっている」というプラス作用がはたらくものです。
しかし、だからといって、現職候補が公開討論会の出席を断わると、「自信が無いから避けた」「現職は逃げた」と思われてしまいます。しかも、その噂はかなり早く広範囲に伝播していきます。
だから、かなり高い確率で落選してしまうのかもしれません。
きょうの青梅市の公開討論会をサポートしたのはNGOリンカーンフォーラム。
この代表の内田さんがまだ事務局長だった時に開催された「公開討論会の開き方セミナー」に、私は8年前に参加したことがあります。(参加者は5人くらいでしたが・・・・)
当時、私は飯能市長選で公開討論会を開催したいと思っていた時だったからです。
その時、講師の内田さんから
「公開討論会への出席を断った現職候補は落選する確率が高い」ということを出席要請の交渉時の口説き文句にすると効果的ですよ、
と教わりました。
この<法則>は、その後、8年の間に、かなりの実績で裏付けられるようになっていったのです。
だから、今年の青梅市長選も
「地元のJCが企画した公開討論会への出席を現職候補は断った」
という図式になれば、新人候補のFさんは「当選するかもしれない」と思っていたのです。
ところが、現職市長は「新人候補との一騎打ちの公開討論会」を受けて立ったのです。おそらく、当人か身近なスタッフが、この「法則」のことを知っていたのでしょう。
これで、当落はまったく判らなくなりました。
私が会場に着いたのは18:00。開場の30分前でしたが、すでに50人ほどが並んでいました。「この時刻でこの行列なら満員になるな」と予想できましたが、結果はその通りに満員になりました。
(公開討論会の内容は次回に書き込みます)
2007-10-31 Wed
昨日(10/30)、青梅市で開催された市長選の公開討論会では、幾つかのコトに気づきました。
立候補予定者が二人だったために、比較がしやすく、対照的なことが浮かび上がりました。
現職は、三期目の選挙となると、さすがに「挨拶」も「演説」も「語り」も手慣れており、市長選では部外者である私には、低音で離す口調に「有権者には安心感を与える人だろうな」という感じを受けました。
その点、新人候補のFさんは、「若さ」が「声の高さ」と「口調」に出てしまい、せっかくの武器である「若さ」が、「新鮮さ」よりも「幼さ」を醸し出してしまっているような感じを受けました。
しかし、この二人が最も際だって違っていたのは、Fさんは、すべてを「ノー原稿」で語ったのに対して、現職候補は、事前に設定されていた「質問」(計7問)について語るときは、テーブルに置かれた原稿を読み上げていたのです。
当然、聴衆には「その原稿は誰が書いたのか?」という疑問が生じます。
おそらく、市長本人ではなく「市長から命じられた市職員が書いた」のでしょう。市政の一環としての「市長と語る会」のような行事であるならともかく、選挙の立候補予定者同士の討論会としては「不公平」を感じさせられました。
「公開討論会」とは言っても、短時間(実質90分前後)で、市政の重要課題について、それぞれの見解や抱負を述べるのですから、どうしても「広く浅い一般的な演説」の域を出ません。
今回の青梅市での事例に限らず、現在、日本中で開催されている公開討論会では、立候補予定者同士の「討論」はしないことになっています。
「公開討論会」と言っても、「公開」に偽りはありませんが、実は「討論会」にはなっていません。そのような「運営ルール」が普及しているからです。
なぜなら、「対立候補からの直接質問に答えなければならない形式」や「自由な討論の形式」を採用すると、まず現職候補は「絶対に出席を承諾しない」からです。
公開討論会の主催者にしてみれば「現職候補が出席しない公開討論会」は開催する意味がありません。
だから、「現職候補の出席」を確保するためには、その現職候補が嫌がる「直接対決の討論会」は「絶対にやらない」という確約をせざるを得ないのです。
しかし、その「運営ルールが生まれてきた背景」を知らない人の中には、どうしても「これは合同の政策発表会であって討論会にはなっていない」と思う人が出てきてしまいます。
それでも、「直接対決の討論」を設定できなくても、立候補予定者が同じ壇上に数十分でも一緒に並んでいれば、その「違い」や「政治家としての力量や可能性」は、会場に居る人たちには「判ってしまう」ものなのです。
宮崎県知事選で、当初は「話題だけのタレント候補」としか見られていなかった「そのまんま東」候補が、「もしかしたら当選するかもしれない」と短期間で思われるようになったのも、県内で開催された公開討論会からだったそうです。
青梅市での公開討論会の最後は、他の地区での公開討論会と同様に、立候補予定者による「5分間の自由スピーチ」でした。
司会者が事前に「個々の発言に対して賛同されても絶対に拍手はしないで下さい」と注意してあったにも関わらず、現職候補よりも先に発言する順番になっていたFさんのスピーチが終わった時は、場内から自然に拍手が起こりました。
司会者は、「最後の発言だから」なのか、その拍手を制止はしませんでした。
次に発言する現職候補者の時にも「終わりの拍手を容認すればそれで公平な扱いになる」とでも思ったのかもしれません。
しかし、現職候補の最後の発言の時は「拍手」は起こりませんでした。
こんなことも「公開討論会だからこそ見えてくる違い」なのかもしれません。
終了後、会場から出て建物を出るまで、一緒に歩いている人たち同士の「感想の会話」に聞き耳を立てながら歩いていましたが、かなりの年配者の方が周囲の人に「しっかりした人なんだなぁ・・・」と話していたのが聞こえました。
その「しっかりした人」というのが、どちらの立候補予定者を指すのかは、説明するまでもないでしょう。
東青梅駅→拝島駅→東飯能駅と電車を乗り継いで、自宅に着いたのが22時少し前でした。
2007-11-19 Mon
昨日(11/18)、投開票された青梅市長選の結果が確定しました。
(青梅市選管サイト)
結果は投票率42%(前回は同じ候補者同士で39%)
竹内としお(現職・63才) 23,574票 (得票率50.38%)
舩橋伸介(新人・35才) 23,217票 (得票率49.61%)
なんと、わずか357票差でした。
この候補者2人は前回の市長選でも一騎打ちでしたが、舩橋候補はその時と比較して得票率を大きく伸ばしました。
先日のブログで、私は
「現職市長が公開討論会を逃げずに受けた」ので
「公開討論会を逃げた現職は落選する」という法則が作用しないから、
もしかしたら、今回も現職が勝つかもしれない」という可能性を指摘しましたが、その通りになりました。
その意味でも、現職市長が「公開討論会を逃げずに受けた」という判断は適切でした。
しかし、投票率がもう、数%上がっていたら、結果は逆転していたと思われます。
かろうじて当選した現職市長は、次の市長選には出ないかもしれません。
私の関心の的は、惜敗した舩橋さんが、次の選挙まで、いまのパワーと緊張を維持し続けられるかどうか、です。
