2007-07-19 Thu
この▲飯能「起業準備」講座▲では何度も紹介している
『ビジネスアイデア定着シート』の20項目が<プランを見直す>視点です。
しかも、その20項目は<見直すべき順番>に番号が打たれています。
1番目は<このビジネスが対象とする顧客>です。
まず<顧客>の検討から始めるのが最も重要なことだからです。
ここでは、どのような視点でビジネスプランを検討すればいいのでしょうか?
その事例を明示したのが、
『ビジネスアイデア定着シート』と同じサイズ、同じスタイルの
「チェックポイント20項目・一覧表」です。
そこには(whom・ターゲット・セグメント)
と書かれていますが、これはここで使いたいキーワードです。
〔個人・家庭・事業所・性別・年齢別・事情別etc.〕
と書かれていますが、これは<対象を絞り込む言葉>です。
同じビジネスでも、対象とする顧客によってビジネスは大きく変わってくるからです。
例えば<ダイエットビジネス>を事例にして解説してみましょう。
性別
男性を対象にしたダイエットビジネスと、女性を対象にしたダイエットビジネスの違いを考えることが重要です。
男性がダイエットに期待するコトと、女性がダイエットに期待するコトには
大きく異なっている部分と、意外にも共通する部分があるものです。
ダイエット方法やその効果にも明確な性別があるのかもしれません。
その違いを理解したうえで、男性専門にするのか? 女性専門にするのか?
それとも男女一緒にするのか? ということを癌得てみるのも重要なことです。
<男性コース><女性コース>という区別だけではなく、
「女性客は男性スタッフが応対する」逆に
「男性客は女性スタッフが応対する」という発想も生まれてくるでしょう。
個人・家庭・事業所
殆どのダイエットビジネスは<個人>を対象にしています。
つまり一人ずつから個別に料金を頂くことにしています。
<家庭>というキーワードで<家族単位のダイエット>というアイデアが生まれてきます。<ファミリー料金>というサービスもダイエット以外では定着しています。
<事業所>というキーワードから<職場単位のダイエット>というアイデアが生まれてきます。<職場に出向く>サービスはダイエット以外では多くの分野で定着しています。
年齢別
ダイエットビジネスは何も<スタイルに敏感な若い人>だけが顧客対象ではありません。
もちろん、<メタボなオジサン>を対象にしたダイエットでは生活習慣病との闘いという<医療>の要素が不可欠です。
高齢者を対象にしたダイエットビジネスは<寝たきりになることの予防>とセットにできるかもしれません。
子供を対象にした<肥満児ダイエット>は、社会的にも意義のあるビジネスになるでしょう。
事情別
他人には同じように聞こえる「ダイエットしなければ」という顧客の要望も
誰が見ても太っている人の要望と、
誰がみても「どうして痩せる必要があるのよ」と思われている人の要望は同じではありません。
以上のように〔個人・家庭・事業所・性別・年齢別・事情別etc.〕という言葉だけでも、検討することは多岐に渡っていることが理解できると思うのですが、どうでしょうか?
2007-07-20 Fri
1.<このビジネスが対象とする顧客>は、
起業してから大きく変動する(変動を余儀なくされる)こともよくあります。
実際に起業してから初めて「判ること」「気づくこと」があるからです。
私も23年前に、創業開発研究所としてのビジネスを始めてから「大きな失敗」としてそのことを体験しました。
私が最初に設定した顧客は、
<脱サラしたいと考えているサラリーマン>でした。
その人たちに、私が提供する商品(サービス)は、自分自身の体験と多くの創業経営者から聞いてきたことをまとめた「脱サラに失敗しないためのノウハウ」です。
私は<社員研修の世界>に8年いた体験から、当然「教える」ことをメインにしました。それが<自分の足下>です。収入を得る方法としてそれ以外のことは興味が無かったのです。
もちろん、雑誌に書く原稿料や著書の印税も希望とする収入源ですが、起業した時点では「そのアテ」はまったくありませんでした。
創業開発研究所のビジネスの収入源は、
私が設定したセミナー会場に来て受講料を払って聞いてくれる人に、
私なりにまとめた「起業の成功要因と失敗要因」を話すことです。
1985年に最初に開催したセミナーは3時間。受講料は3000円。
いまでも覚えています。会場は池袋にある豊島区立産業振興会館。
受講者は20名。合計60000円の受講料が初めての売上でした。
セミナーを何度か開催しているうちに、下記のことに気づいたのです。
1.受講者は現役のサラリーマンよりも無職の人が多い
2.現役のサラリーマンの大部分は勤務先を明かさない
3.「ビジネスプランは有る」と言いながら明かさない人が多い
その理由はまもなく判りました。
<起業セミナー>や<独立開業セミナー>を受講するということは、
当然、「いまの勤務先をいずれは退社したいと思っている」ということです。
そういうセミナーに出て、同僚や上司にも出会ったら、お互いが困ります。
仕事の取引先の人に出会って、<脱サラ願望>を上司にチクられるのも不安です。
だから、勤めている現役サラリーマンの大多数は起業塾や創業塾を受講できないのです。
現在は、殆どの人が、そういうセミナーを受講したことを勤務先に知られても平気に思うようになりましたが23年前は「絶対に知られてはいけないこと」だったのです。
(これではジリ貧だ!)と危機感を持ちました。
(以下は長文になりますが)
続き▽
2007-07-20 Fri
『ビジネスアイデア定着シート』の 1<このビジネスが対象とする顧客>では、下記のようなことも検討して欲しいものです。
・自分もその「顧客」に含まれているか?
・自分はその対象と実際に接しているのか?
ここでもダイエットビジネスを例にして説明しましょう。
・自分もその「顧客」に含まれているか?
自分ではダイエットの必要性がない体型の人が始めるダイエットビジネス
と
自分自身がダイエットの必要性を痛感している人が始めるダイエットビジネ
では、
どちらのほうが成功すると思いますか?
実は、世の中には、
<自分自身はダイエットの必要がない体型の人>が、
「太っている人はダイエットの必要性を感じているだろう」
「痩せたい人はダイエットにお金を惜しまないだろう」
「だからダイエットビジネスなら儲かるだろう」
と自分で勝手に思い込んで、ダイエットビジネスを始める人が少なくないのです。
もちろん、そういう人は全員、せっかく始めたダイエットビジネスを長続きさせることができないのです。
ダイエットしたい人の本当の目的がわからないからです。
ダイエットに挫折してしまう人の気持ちがわからないからです。
お客がダイエットにどこまでお金を使うのかがわからないからです。
・自分はその対象と実際に接しているのか?
自分自身がダイエットの必要性を痛感していたとしても、自分以外の人にも接して、多面的な検討をしてみることも重要です。
こんな初歩的なことはいまさら言うまでもないことでしたね。
・自分もその「顧客」に含まれているか?
・自分はその対象と実際に接しているのか?
ここでもダイエットビジネスを例にして説明しましょう。
・自分もその「顧客」に含まれているか?
自分ではダイエットの必要性がない体型の人が始めるダイエットビジネス
と
自分自身がダイエットの必要性を痛感している人が始めるダイエットビジネ
では、
どちらのほうが成功すると思いますか?
実は、世の中には、
<自分自身はダイエットの必要がない体型の人>が、
「太っている人はダイエットの必要性を感じているだろう」
「痩せたい人はダイエットにお金を惜しまないだろう」
「だからダイエットビジネスなら儲かるだろう」
と自分で勝手に思い込んで、ダイエットビジネスを始める人が少なくないのです。
もちろん、そういう人は全員、せっかく始めたダイエットビジネスを長続きさせることができないのです。
ダイエットしたい人の本当の目的がわからないからです。
ダイエットに挫折してしまう人の気持ちがわからないからです。
お客がダイエットにどこまでお金を使うのかがわからないからです。
・自分はその対象と実際に接しているのか?
自分自身がダイエットの必要性を痛感していたとしても、自分以外の人にも接して、多面的な検討をしてみることも重要です。
こんな初歩的なことはいまさら言うまでもないことでしたね。
2007-07-21 Sat
『ビジネスアイデア定着シート』の 1<このビジネスが対象とする顧客>では、さらに下記のようなことも検討して欲しいものです。
・「可能客」と「見込み客」を混同していないか?
<顧客>について考えるとき、多くの人は<可能客>と<見込客>を混同して、自分が手がけるビジネスの規模を過剰に期待してしまいます。
<可能客>とは、お客になってもらえる可能性の有る人のことであって、一般的には「市場規模」とか「マーケット」という言葉でその数字が語られます。
そのビジネス全体の「数」に目が行っているので、どうしても「大きく」「多数」に想定しがちです。
これに対して<見込客>とは、そのビジネスを自分が売り込んでいる人たちの中で「お客になってくれそうな反応を示している人」のことであって、あくまでも顔や名前、連絡先、その人のニーズを把握できている人数に限られます。
またまたここでも、ダイエットビジネスを例にして説明しましょう。
ダイエットビジネスを始めようと思っている人は、
「太っている人、自分は太っていると思っている人、痩せたい人と思っている人」を見込客と思い込んでしまいますが、そういう人たちは可能客であって、「あなたのお客さんになってくれる」見込客ではありません。
あなたがダイエットビジネスを始める時の見込客とは、
あなたがダイエットビジネスを始めることを知っていて
あなたのダイエットのノウハウやサービスに期待していて
その人のニーズとあなたの提供する商品とがマッチすれば
価格と対応次第ではお客になってくれそうな人のことなのです。
起業する前に「これならやっていける」と確信できるだけの数の見込客を抱えて起業する人は極めて少ないのが現実です。
23年前の私も、この<可能客と見込客の区別>を知りませんでした。
<脱サラ願望の有るサラリーマン>(実は可能客にすぎない)を、自分のビジネスの見込客だと思い込んでいたのです。
しかし、<事業プランを検討する視点・No.1>で書いたように、
「会社に自分の脱サラ志向を知られたくない人」は、起業塾には顔を出せないので、お客になるわけがないのです。
もちろん、通信教育という手段もありますが、私自身は「話す」ことが好きだったし、<教材の発送管理>という作業は経験がありませんし、なによりもそんなことに時間を取られるのが嫌なのでそれはやりたくありませんでした。
2007-07-21 Sat
『ビジネスアイデア定着シート』の 14<このビジネスの初期の展開方法>では、下記のようなことも検討して下さい。
・最初は自分一人だけの仕事として始めるのか?(生業)
・最初から家族の協力を必要とするのか?(家業)
・最初から社員を雇用しないと始められないのか?(事業)
同じビジネスでも、<生業>としての展開と、<家業>としての展開、<事業>としての展開は、同じものではないのです。
ここでは、誰もがイメージできる<ラーメン屋>を事例にしましょう。
「え、何? いまさらラーメン屋?!」と言わないで下さい。
<生業・家業・事業>の違いを理解するには最適な事例なのです。
「ラーメン屋はこれからも儲かるビジネスだろうか?」とか
「ラーメン屋はもうこれからはダメだろうか?」という検討は無意味です。
ラーメン屋で成功している人は<自分の足下>から、自分にとって最適なビジネスだと思って始めた人なのです。
<自分の足下>のビジネスではないのにラーメン屋を「簡単に儲かりそうな商売だ」と思って始めた人が失敗しているだけなのです。
<生業のラーメン屋>とは、自分一人で営業しているラーメン屋です。
「ラーメン屋が最適ビジネスなのは自分だけ」ということを理解しているから自分の商売に家族を巻き込まないのです。だからカウンター席だけのお店が多いのです。
もちろん、商売が繁盛して人手が必要になれば、皿洗いや雑用でアルバイトを雇うことはありますが、だからといって配偶者にラーメン屋を手伝わせることはありません。もちろん、子供に継がせようとも思っていません。
自分一代限りでも構わないと思っています。
毎日、好きで得意なラーメン作りに専念して、それで行列ができる店になって、サラリーマン時代よりも多額な収入が続けば、それはそれでその人にとっては成功です。
これに対して<家業のラーメン屋>とは、「自分一人では店を運営できないから」と開店の時から家族と一緒に始めることです。
もちろん、自分の得意なラーメン作りの技術は家族にもきっちり伝授して、連係プレーでラーメンを作っていきます。軌道に乗れば店舗を広げていきます。
子供もラーメン屋の商売に引き込みます。お店が繁盛して儲かってくれば、長女夫婦に支店を持たせ、さらに次男夫婦にも第二支店を・・・・・というように商売を広げていきます。しかし、基本は家族が一致団結して和気藹々と毎日の商売に専念していくことです。
儲かったお金でアパートやマンションなどの資産を増やしていくことができればそれはそれで<家業>は大成功です。
ところが<事業としてのラーメン屋>は、最初から、人を雇って多店舗展開していくことを目指します。
だから、<事業としてのラーメン屋>目指す人は、いくら自分が「ラーメンを作る」のが好きで得意でも、いついまでも厨房で汗をかいて働いているわけにはいきません。
<事業としてのラーメン屋>の社長の仕事は、自分の得意なラーメン作りの秘伝を素人に教え込み、できるだけ短期間で一人前のラーメン職人に育て上げることです。素人でも黒字の出るラーメン屋経営のノウハウを教え込むことです。
それで100店舗、500店舗と成長し、株式公開でもできれば、それが<事業>としての成功です。
以上の簡単な説明だけでも理解できると思いますが、
生業としてのラーメン屋の店主、
地域で何店舗も経営しているラーメン屋のオーナー、
全国に何百店舗も展開しているラーメン屋チェーンの社長
はそれぞれ、経営者としてのやるべき仕事はかなり異なっているのです。
2007-07-22 Sun
同じラーメン屋でも<生業・家業・事業>では大きな違いがあるのです。
しかし、その違いを知らない外部の人たちは、生業のラーメン屋、家業のラーメン屋、事業のラーメン屋を、それぞれの違いを無視して、一緒くたに
ただ<ラーメン屋>と言っているのです。
もちろん、最初は<生業>で始め、順調に繁盛していったので、いつのまにか<家業>になっていた、ということはよくあることです。
さらに、ファミリーだけで経営していた<家業>から、社員を募集して採用し、その社員が戦力になって規模が拡大していって、やがて<事業>になっていく、という例もよくあることです。
しかし、だからと言って、
「<生業・家業・事業>の中でどれが一番良いのか?」
ということはありません。
要は自分がどれを望むか?ということなのです。
ここで何度も事例にしているダイエットビジネスにも<生業・家業・事業>の違いはあります。
私が創業開発研究所で失敗したことは、<生業>に徹すれば良かったのに、<事業>にまでしようと欲張ってしまったからです。
それは「起業家を目指す人に起業の成功要因と失敗要因を教える人は、自分自身が起業家として成功してみせなければならない」と思い込んでしまったからなのです。
いまにして思えば、23年前に私が創業開発研究所を起業した時に目指していたのは起業家ではなく、「起業の成功要因と失敗要因を研究する」ことで生活できるだけの専門家だったのです。
そこに気づいたのがいまから15年前のことです。
私が目指しているのは専門家であって起業家、事業家ではないのですから、社員を雇う必要はないのです。社員がゼロになれば事務所も不要です。
自宅で電話とインターネットがあれば充分にできるビジネスなのです。
だから、私は都内の事務所をたたんで飯能の自宅を事務所にするようにしたのです。
かなりの負債を負いましたが、なんとか続けてこられているのは、「好き」なことだからです。「これしかない」からなのです。
以上、当Blogでは、<1.このビジネスが対象とする顧客>と<14.このビジネスの初期の展開方法>という2つの項目だけしか解説しませんが、残りの,2~13.15~19までの項目を、チェックポイント一覧表を参考にしながら、あなた自身のプランを深めていって下さい。
