2009-03-03 Tue
私は「次の図書館」について、市内の多くの人と意見交換をしてきました。
中には意見がかみ合わない人もいました。
きょうは、その「かみ合わない」理由について考えてみました。
Aさんは「新しい図書館を早く建てて欲しい」という要望の持ち主です。
いますぐ図書館を建設しようとすれば、場所は「山手町用地」しか有りません。
だから、Aさんには「旧丸広東飯能店に図書館を造って欲しい!」という意見の人たちの気持ちが理解できません。
「あのビルはもう丸広が買い戻して百貨店を再開することに決まったんだから、いまさらそんなコトを言ってもしょうがないじゃないか!」
「そんなコト言ってる人がいるから、いまだに図書館建設が正式に確定しないんだ! いつまでそんなムダな議論を続けてるんだヨ!」
そんな怒りさえ、Aさんの胸中には芽生えてしまっているのです。
Bさんは「新しい図書館は便利な駅前に造って欲しい」と思っています。
最近、新聞やテレビで、新しくオープンした「駅前図書館」が紹介される度に
「早く飯能でも実現して欲しい!」という気持ちが強くなってきます。
だから、「東飯能駅ビル」が買い手を探していると知ったときから、Bさんは
「飯能市があのビルを買えば、すぐに駅前図書館ができるのに・・・」
と思っていました。
そのビルを丸広が買い戻して百貨店を再開すると聞いてからは
「飯能市がその中の1フロアか2フロア借りて、そこを図書館にすればいいのに、何でそうしないのだろう?」
と不思議に思っています。
もちろん、Bさんの耳にも「あのビルは構造的に図書館には向かない」という情報は届いています。
しかし、Bさんは
「それは本当なの? だって前に営業していたときには書店があったじゃない。他の自治体だって、閉店になったスーパーやデパートの後に図書館をつくっているじゃない。なのにどうしてなの?」
と<構造的に不可能説>をいまだに疑っています。
Cさんは、「どうせなら、全国的に注目されるような図書館にしたい」
という要望の持ち主です。
だから、「建設地は山手町用地しかない」と思っていたときは、
「そこに地元の西川材で木造図書館として日本一、いや世界一と自慢できるような図書館を造りたい」という要望を持っていました。
しかし、東飯能駅ビルが売りに出されたときから、
「あのビルを飯能市が購入して、そこを駅前図書館よりも便利な駅ビル図書館にしたほうが面白いな!」と思うようになったのです。
「あのビルなら図書館以外にも、保育園や介護施設、福祉施設、市民活動拠点も併設できるし、1階と2階をスーパーや小売店に貸せば、定期的な家賃収入も確保できる」
こんな夢もCさんの胸の中では膨らんでいます。
Dさんは、「新図書館は、飯能市の将来ビジョンの中で考えるべきだ」という意見の持ち主です。
だから
「飯能市はいずれ日高市や入間市などと合併することになるのだから、次の図書館も、そのことを想定したうえで考えるべきではないだろうか?」
「だから、とにかく、新しく箱物を建設するのは止めるべきだ」
と思っていました。
「いまの老朽化した図書館が狭くて、使いにくいというなら、丸広の新飯能店の上層階フロアーを借りて、そこを図書館にすればいい」
「そこの家賃が高すぎるというなら、今秋、丸広が東飯能駅に移っていった後の現飯能店の数フロアを借りることにして、そこを構造的に可能な範囲の図書館に改装すればいい」
「他にもテナントが撤退する大型商業施設が出てくれば、そこを借りればいい。どうせ家賃を払うなら、市内に環流する使い方をすべきだ」
これがDさんの現在の意見です。
あなたの図書館に関する「考え」や「意見」「要望」は
Aさん、Bさん、Cさん、Dさんのどれに近いでしょうか?
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2009-03-04 Wed
前回(3/3)書いたAさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人の意見や要望の「違い」は、どこから生じたのでしょうか?
それは「立場」と「視点」の違いからなのです。
Aさんは、「新しい図書館をどこに建てるか?」という視点だけで全てを考えています。
だから「建てるなら場所はどこか?」「構造はコンクリートか木造か?」
「どの程度の規模になるのか?」ということには興味もありますが、
「図書館を建てるだけの空き地が有るのだから、とにかくそこに一日も早く建てて欲しい!」という要望は日々に強くなっていくのです。
設備が新しくなり、映像や音楽の貸し出しもできるようになるのであれば、
「図書館の機能と役割」は、いまの図書館と同じでいいと考えています。
「そもそも最初から新しい図書館を建てるということで計画が進んできたのだから市はそれを貫くべきだ」と考えています。
年配のAさんにとっては「公立の図書館が民間のビルに家賃を払って入居する」などということは「有ってはならないこと」なのです。
Bさんは、「これからの図書館はどうあるべきか」という視点で考えています。
だから、「どうせ現図書館とは別の場所に建てるのであれば、駅前などの便利な場所に建てて欲しい」と思うのです。
だから、Aさんと違って、Bさんの思考には「必ずしも自前で新しい図書館を建てなければならないというわけではない」という柔軟さが有るのです。
その「便利な場所」とは、車を使わないBさんにとっては「駅前」以外に考えられません。だから旧丸広東飯能店が最適なのです。車で行こうとは思っていないのですから「駐車場の確保」は、Bさんの考えには入らないのです。
もちろん、同じ「駅前」でも、Bさんにとっては「東飯能駅の前」よりは「飯能駅のすぐ近く」のほうが便利なのですから、丸広が出て行った後の現飯能店でもいいと思えるのです。
いずれにせよ「テナントとしての入居」なのですから、決定さえすればその半年後には新図書館をオープンすることは可能です。
だから、Bさんは「新しい図書館はもうすぐできるはず」と期待しているのです。
Cさんは、「箱モノ行政は必ず批判されるが、それでも図書館だけは例外とされる」「市民は自慢できる図書館、誇れる図書館を望んでいるのだ」という視点で考えています。
だから「100%西川材で建てた図書館」とか「大型商業施設全館を買い取って転換した図書館」という「話題になりそうなプラン」に惹かれるのです。
Dさんは、「5年~10年の間には、必ず次の広域合併があるのだから、入間市や日高市の図書館を考えれば、いま飯能市で新しい図書館を建てる必要はない」という視点で考えています。
だから、「いまの図書館が旧くて狭いというなら<合併後の公共施設計画>が確定するまでは、どこかの空きビルへのテナント入居でいい」という考え以外は認めたくないのです。
この4人は、それぞれの視点は異なっていますが「新しい図書館の必要性」そのものは認めているのです。
ところが市民の中には、「そもそも自治体が図書館を運営する時代はもう終わらせるべきなのだ」という「視点」で考えている人もいるのです。
それが5人目のEさんです。
そのEさんの「考え」は次回に。
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2009-03-05 Thu
いままで紹介したAさん、Bさん、Cさん、Dさんは、「次の図書館」について
「どこに?どのような?」ということでの要望や意見は異なっているものの、
「飯能市が今の図書館とは別の場所に新しい図書館を開設する」
という点では“一致”しています。
ところが、これに対してEさんは、下記のような「考え」「意見」なのです。
「公立図書館が住民への行政サービスとして不可欠な時代はたしかに有ったが、昔と比較して書籍が安価になり、書店が多数存在し、なおかつ通販で全国どこに住んでいても同一料金で入手できるようになって20年も30年も経っている現在にあって、もう自治体が図書館を運営する時代は終わった」
「図書館は単に無料の貸本屋ではないはずだ!」
「図書館に長時間滞在している人は、学習室としての利用と新聞雑誌の閲覧であって、これらの需要に応えることが、果たして、限られた市役所予算の中で本当に提供しなければならない行政サービスなのだろうか?」
「もはや、自治体が図書館を運営する時代は終わった、というよりは、終わらせるべき時代なのだ」
そこで、Eさんは下記のようなことを周囲の人たちに話しています。
「行政が図書館の運営をする時代を終わらせるべきだ、とは言っても、現にいまある図書館をすぐに廃止すべきだ、とは言わない」
「これから、公と民との関係は、“公設民営”と“民設公営”を分野ごと、目的ごとに、適切に使い分けていく時代なのだ」
「すでに“公設”で存在している現在の飯能河原に面して建っている市立図書館は、運営を希望する市内の個人、グループ、企業などによる“民営”に移管すべきだ」
「市も、現在の図書館運営に割いている年間総予算(人件費+図書購入費・水道光熱費+種々の外注費)の金額以下で図書館運営を市内の民間(個人 or 団体 or 企業)に委託したほうが経費削減になったうえに図書館サービスの質を飛躍的に向上させることができるのだ」
「なんだったら、私(Eさん)が市立図書館の“民営”を受託してもいい。私が全権限を持つ図書館長になったら朝7時~夜11時まで開館するようにする。図書館は最低でもセブン・イレブンで運営すべきなのだ」
「私が図書館長だったら年間の休館日は本当の設備点検や修繕でやむなく使えなくなる日だけに限る。そうすれば1年365日のうち360日は開館している図書館にできる」
「いまの飯能河原に面している現図書館以外の場所でも図書館を必要とする地域があれば、そこは逆に“民設公営”の図書館にすればいいのだ。民間(個人の資産家・積極的な住民グループ・空きスペースを持っている商店や企業)が、自分の意志と才覚とリスクを負う覚悟で新図書館スペースを設置し、そこを飯能市が借り上げて“公営”図書館にすればいいのだ。市が“民設”者に支払う家賃が適切であれば、市民はこの予算の使途を歓迎する」
「民設公営の図書館とは、例えば、丸広が新飯能店の中に丸広のお金で図書館を設置し、それを飯能市が借りるのは、家賃が妥当であれば市民は歓迎するのだ」
「この民設公営方式であれば、新しい図書館が住民の望む場所に開設され、民設者の収入にもなり、市も適切な金額の範囲で住民が望む行政サービスを提供することができるのだ」
「飯能市が次の図書館計画として、公設民営と民設公営を使い分けていく方式を採用することにしたら全国から注目されることになる。これだけでも飯能市の名前が全国に知られることになる」
つまり、Eさんは、
「飯能市は、いままでの図書館予算の範囲内で、図書館サービスの内容が飛躍的に向上し、飯能市の予算が市内の民設者と民営者に環流して市内の経済を活性化し、そのうえ市の知名度の向上になる、という一石二鳥どころか一石三鳥にも、一石四鳥にもなる」
ということを言いたいのです。
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