一次選考通過作品     38人 101首


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申し訳ありませんがこの点はご了承下さい。

雪の衣を
一枚
一枚
脱ぎ捨てて
浅間の春



長野県小諸市
遊子

枯れ色畑から
立ちのぼる
青煙
春の農作業は
野焼きから



長野県小諸市
遊子

彼岸を走る
しなの鉄道
ガタゴトガタゴトを
春音階に
転調して




長野県小諸市
遊子






冬の通勤電車
窓の外から
朝日が昇る
顔を太陽に向けて目をつむる
なんて暖かい光なのだろう



イギリス・ウエストサセックス州
フランク 好恵

丘の斜面を朝日がてらしている
丘そして丘
つづく様々な緑のトーン
ああここに住んでよかった
雲が丘の上に広がり流れていく



イギリス・ウエストサセックス州
フランク 好恵




今日のおみくじ
北の窓から
浅間が
見えたら
「大吉」



長野県小諸市
遊子

生きている証と
浅間は
今日も
白煙を
吐く



長野県小諸市
遊子

せせらぎよりも
小さな声で
囁いてみる
聞こえますか
私の愛が



北海道苫小牧市
そよ香



帰省する
単線の窓から見える
清流と五月の緑
来年は蛍の見える六月に帰ろう
私の故郷へ



イギリス・ウエストサセックス州
フランク 好恵

維新の志士達が
集った湯につかり
湯煙の向こうに見える
彼らの志と希望
松田屋 湯田温泉



イギリス・ウエストサセックス州
フランク 好恵

ずっとずっと遠くまでひろがった空が
海と出合っている
薄いカーテンみたいな雲に
太陽があたって色をかえる
カリブの空は一面の展覧会



イギリス・ウエストサセックス州
フランク 好恵

まぶしいホームに
飛び降りると
おかえりって
包んでくれる
空と山と稲の海



神奈川県相模原市
宮川 蓮

遠く
突き抜けた
想い
いつの日か帰る
南風



北海道苫小牧市
そよ香

あの夜景の中
ひとは
何よりも眩しく
懸命に
生きている



北海道苫小牧市
そよ香

さようならと
駅の向こう側
見送ったのは
北風と
あの人と



北海道苫小牧市
そよ香





雪解け水に
山川草木
一気に目覚め
雪国の
大きな春の訪れ



長野県長野市
窪田淳子

眠り覚めやらぬ
平城京址
朝霧の
向こうは
奈良時代か



神奈川県相模原市
宮川 蓮

山々の吐息が
雲になっていく
親もとを
はじめて離れた
奥飛騨の朝



神奈川県相模原市
宮川 蓮

安土城址に立ち
はるかな世界を見る
天下人の眺望
私も自分の
峰を目指そう



神奈川県相模原市
宮川 蓮





あの大空みたいに
一杯遊ぼうよと言った
幼子が
青空の様な人と
結ばれた



長野県長野市
深沢久美子



おばあちゃんと
新潟へ行って
七つも
お墓参りをしました
歩くのが大変でした


千葉県我孫子市
いちご

四方を山に囲まれ
善光寺をお守りに
おもてなしは
自然の宝庫で
信濃路よ息長く



長野県長野市
窪田淳子

温暖化の
警鐘に
守り抜きたい
善光寺の
梵鐘を



長野県長野市
窪田淳子

瀬波海岸で
ふたりきりで見た
海のきらめき
追憶の果てに
佇む面影



千葉県我孫子市
中谷京華

鯨波海岸で
砂遊び
波に浮かぶ海草や
貝殻集めに
夢中になった



千葉県我孫子市
中谷京華

熱帯の樹木の
色鮮やかな緑が
一年中
美しい
シンガポールの街並



千葉県我孫子市
中谷京華

思わず足早になる
うれしくなって笑いをこらえる
キュッ キュ と
十八鳴の浜が
追いかけてくる



宮城県東松島市
アンドー・ナツ





お土産に
摘みたて野菜と
温もりを
山里の
お散歩マーケット



埼玉県飯能市
倉田モコ

お囃子の
テンツクテンテン
うかれだす
桜祭りの
飯能グランド



埼玉県飯能市
倉田モコ

新緑の
ツーデーマーチ
歩いて知る
飯能良いとこ
あっさらしい



埼玉県飯能市
倉田モコ

商店のお宝の
お雛さま
訪れる人
マップ片手に
活気も運ぶ



埼玉県飯能市
倉田モコ




伝統を守り
地域に尽くす
長老は

直向きに無口



埼玉県行田市
豊田連里

老犬が
なごりの春に大奮戦
お嫁さん欲しい?と
母心
やさしい姑になるからね



千葉県野田市
神田千代子



山里の
廃校にある
銀杏の大木は
語る
人よ集えと



千葉県千葉市
かおる

竹に
耳を
あててごらん
水を吸う音がする
命の音がきこえる


千葉県千葉市
かおる

山を守る
八二才の

その筋肉
生き物のしなやかさ



千葉県千葉市
かおる

あおあおとみずみずしい
我がふるさと奥松島
鳴瀬の牡蠣はここで育った
かつて縄文の人々が
かけ巡りここで暮らした



宮城県東松島市
アンドー・ナツ




深い湖を囲む
薗原の地にて
ささやかに
祭られた石碑
心に映す


千葉県我孫子市
中谷京華

河原の石を
どけてごらん
沢ガニが
見つかるかも
しれないよ


埼玉県所沢市
石田郁子

草原に
寝ころんで
空を見上げれば
雲が流れる
風が顔を撫でる



埼玉県所沢市
石田郁子

子どもたち
裸足になって
土を踏め
川に入れ
野山を駆けろ



埼玉県所沢市
石田郁子

幼くして
自然と戯れる
体験
エコツーリズムの基本は
ここにある



埼玉県所沢市
石田郁子

失ってみて
初めて
その大切さを
教えられている人々
ここがスタート



埼玉県所沢市
石田郁子





西川杉の香り
ただよう湯霧
もう下界には
戻りたくない
束の間の湯舟の人



埼玉県所沢市
こはる

鳥のさえずり
風のささやき
樹々の真ん中で
私は
森の人



埼玉県所沢市
こはる





子らの歓声の中を
川が流れ行く
トラストで守った
飯能河原の
五月晴れ 



埼玉県所沢市
こはる

飯能河原の
街並に
ジーパン姿
スニーカ
空は晴



埼玉県狭山市
田村明義
雀よ雀
そんなに俺を
見つめたって
この雪野に
餌はないぞ


長野県長野市
太田吉廣
残雪は白い貝殻
ブナの葉の緑の海に
目眩する
タムシバの花は
白い珊瑚


長野県長野市
太田吉廣
神々の住む
深遠な森の上に
Cityという冠が乗り
九頭竜神の戸隠を
覆い隠してしまいそう


長野県長野市
太田吉廣




陶狸
右に左に
何匹
いただろう
晩秋の茂林寺


千葉県野田市
萩原佳子
イカ釣り船の
漁火が
発光ダイオードに
変わるという
日本の風物誌が消える


千葉県野田市
萩原佳子
マイカー禁止
電気バスが走る
上高地の
空気は
超極上


千葉県野田市
萩原佳子
何一つ
隠し事のない
梓川
川底を
透かしてる


千葉県野田市
萩原佳子
日本人のマナーが
日本の誇りを
傷つけた感がある
世界遺産への見送り
落日の富士は悲しそう


千葉県野田市
萩原佳子




利根川に
サケを放流した
二匹俺の手の中に
くるんと戻ってきてから
泳いでいった



千葉県我孫子市
カイオーガ

人里も
離れてみれば
すっぽりと
小さな私の腕の中
すみれ一輪足元に



千葉県野田市
神田千代子

十六羅漢の石像は
煩悩を
殺したまちづくりを
見守っている
天覧山の中腹で



名古屋市天白区
宮治 眞

飯能川原の浅瀬は
ひんやりと
子らの
熱さまし
水の流れは母のように



名古屋市天白区
宮治 眞

子持岩
カブト岩
吾妻峡は
紅葉に燃えて
奇岩の摂理を知らせる



名古屋市天白区
宮治 眞

宮沢湖も
馴染めば
自然湖
治める辺りは
家族連れの賑わい



名古屋市天白区
宮治 眞

緑の深さに
ふと戸惑えば
さえずりが
教えてくれた
登り口



長野市
深沢久美子

千曲川
雪解け水湛え
旅人の心
沈める
深い青



長野県小諸市
柳澤茂美

水明桜
茅葺き屋根に
雀鳴き交う
百年を
昨日にして



長野県小諸市
柳澤茂美

詩情に酔う
りんご風呂
湯気の向うは
裸木透かし
千曲の流れ



長野県小諸市
柳澤茂美

先ず一番
柱時計の
「ネジ」を巻く
心にも巻く
そば処在り



長野県小諸市
柳澤茂美

浅間颪
「こもろそば」の旗
振り鳴らし
北国街道
吹き抜ける



長野県小諸市
柳澤茂美
松島の青空
赤い橋と白い船
温かいあなたの手
今日は もったいない位
ひとりじめ


宮城県東松島市
アンドーナツ

見渡す限りあおい稲穂
見上げた空は
北斗七星
蛍が揺らぐ今日に
鳴呼


埼玉県さいたま市
あや

冬日射す手賀沼に
水鳥集う
湖面に涌きたつ漣は
街の歴史と
ともにある


千葉県我孫子市
中谷京華

年令差なし
裸の付き合い
夢は無限に
水が
谺する


長野県小諸市
甘利滋子

半袖の
豪雪ボランティア
朝日さす
笑顔を
映像は伝える


長野県小諸市
甘利滋子



峻しさと美しさ備え
雪の連邦
しみじみと
心慰む
母なる浅間山


長野県小諸市
甘利滋子


霜柱に支えられ
大根白菜八の字に立って
小さな声で談合だ
こんな無駄死にいやだよと
おいしく食べて下さいと


千葉県野田市
神田千代子


雨上がり
化粧落とした
ロウバイの
素顔やさしく
春はとなりに


千葉県野田市
神田千代子


能仁寺の桜
ほころべば
天覧山の若葉は
壁紙となって
サポートする



埼玉県所沢市
福井昭子



微かに漂う
清しい香り
能仁寺の庭には
柊の白い花
ひっそりと咲いている



埼玉県所沢市
石田郁子


山あり
川あり
おまけに蔵まで
だんだん
飯能が好きになってきた




埼玉県所沢市
石田郁子

たわわに実った稲を
刈りに行く
耕運機
田んぼ目指して
意気揚々



横浜市神奈川区
村上智香


大王が
見上げた空を
今もひばりが舞う
奈良の里は
永遠にまほろば



横浜市神奈川区
村上智香

かんかん照りの
夏の盛り
汗かいたのどに

つるんと涼風
くずまんじゅう



横浜市神奈川区
村上智香

胡弓の調べの
内側に
恋心を秘めて
踊り明かす
風の盆



横浜市神奈川区
村上智香

どんな音楽も
いらない
ただ
清流の
せせらぎがあれば



横浜市神奈川区
村上智香

恋人を呼ぶ口琴
アイヌのムックリ
素朴な音色が
白老村と
私の心に響く


千葉県船橋市
酒井里子





森の中の一軒宿
蔦温泉は
トイレの下に
清流が流れ
小魚が泳ぐ


千葉県船橋市
酒井里子






みちのくには
まだ大自然が
残っている
奥入瀬渓流に
心洗われる


千葉県船橋市
酒井里子



湯布院の
名声に隠れた
隣接の平湯温泉
ひっそりゆったり
教えたくない宿


千葉県船橋市
酒井里子



蔵造りの街を
山車が行く
人が喜び活気づく
伝統文化
飯能祭り




埼玉県飯能市
なまいきなこ

都心に近い
山がある
清流がある
自然あふれる町
飯能




埼玉県飯能市
なまいきなこ

蔵人が
誇りをかけて
つくりだす
酒をもとめて
まほろばにたつ




宮城県石巻市
八木朋子

赤おにも
思わずニヤリ
米鶴の
三十四号
まほろばにあり




宮城県石巻市
八木朋子
さわらびの湯で
一日の疲れ
癒す
みなの顔
さわやか

埼玉県入間市
小見寺 公一
ウノタワの
大ブナに
会いに行き
その大きさに
感動

埼玉県入間市
小見寺 公一
丸太作りの
温もりが
心までも
治療する
医院のベンチ


埼玉県所沢市
福井昭子
静けさと
景観のこす
心意気
新幹線を断った
気骨の街小諸


埼玉県飯能市
吉村恒雄
春風に
若草萌える
阿須河原
いにしえ偲び
恋の歌碑立つ


埼玉県飯能市
吉村恒雄
山里の
岩間を巡り
水清く
魚影がよぎる
名栗渓谷


埼玉県飯能市
吉村恒雄
笹ずれと
小鳥の声に
誘われて
右に左に登り行く
竹寺の道


埼玉県飯能市
吉村恒雄

名将が
名残惜しみし
この道は
誰が付けたか
顔振峠


埼玉県飯能市
吉村恒雄