『平和を願う五行歌』 風葉  22首      『平和を願う五行歌』TOPに戻る
道ゆく人が
目をとめる
春の草花
見上げる緑
平和の風薫る
火が出たら
みんなで消します
困っている人がいたら
助けます
イラクの少年の言葉
戦争支持だった
米国の母が
息子の戦死で
支持も不支持も
なくなる
戦争不支持だった
米国の母が
息子を兵士にとられ
銃を持つ息子の
支持者になる
        
今の私にできること
次の時代を担う
子どもたちに
命の大切さを
伝えていこう
破壊された街では
よりよく生きるなどと
言ってはいられない
戦争の狂気は
傷ついた人たちをも狂わせる
         
戦渦に生きる
子どもたちの
飢えと心の傷を
思うと
胸が痛い
反戦歌など詠うなと
私を諭す
人がいる
穏やかな日常の
さりげない一コマ
思いはひとつ
家に帰りたい
この仕事が終わったら
家族に会えるからと
銃を撃つ若人悲し
思想も宗教も持たない私が
考える
祈る
あってはならない
起こるかもしれない
最悪の悲劇を
避けるためにと
次々人が死んでゆく
STOP THE WAR
          
摘まれても根を残し
再び咲くタンポポ
綿毛となって
イラクに飛んだ
数人の日本人
ここに至る歴史的事実も
フセインがしてきた悪事も
私利私欲の思惑も
解決の糸口を探せぬ
理由にしてはいけない
一つの戦争に
何万人もの人が
巻き込まれ
運命を
狂わされている
相手の過ちを
正そうと
起こす戦争が
取り返しのつかぬ
新たな過ち
   
仰いでいる月はひとつ
照らしている陽もひとつ
心は人の数でも
平和を願う気持ちは
ひとつ
      
支持不支持の
円グラフに
集団催眠の
恐ろしさを
視る
    
痛みに泣き叫ぶ親子
傷つけたのは爆弾か
それを落とした兵士か
いいえ
戦えと命じている人
          
殺し合いも
やむを得ないと
真顔で唱える
愚かさよ
全ての子らに未来を
      
究極の恐怖が
残す傷は深い
戦いが終わっても
人々を
苦しめ続ける
血塗れで息絶える人の
なぜ?  の声に
耳を塞ぐな
「多少の犠牲」と
片づけてしまう狂気

平和を願う
千首鶴よ飛び立て

はばたけ