『平和を願う五行歌』 まき 14首      『平和を願う五行歌』TOPに戻る

誰かが
傷つかなければ
安らかな日々が
来ないなら
この春は寒い
     
かつて私が
救われた時のように
傷ついた眼を
受け止める
器になりたい
花見の場所を
さがす人
同じ星の上で
生きる場所を
求める人
戦場に
差し出す
子供なら
私にください
私にください
あなたが死んで
大統領が
泣いてくれますか
当たり前の顔して
戦地へ行かせた人ですよ
子供が傷つき
死んだという
ニュースを見ると
空の子宮に
マグマが滾る
メビウスリングの
狂気だ
戦いを
断ち切るための
戦いなど
洗濯ものを
干しながら
天気を気にする
あたりまえの
日常
そんなに
仲良く
出来ないなら
地球を
半分に割ればいい
うちの猫だって
喧嘩の仕方ぐらい
知ってる
武器はもたない
命はとらない
幼子の
手をつなぎながら
この子の手に
ぬくもりだけを
握らせたいと願う
     
目には
目をで
果てない報復
この傷口に
果てはないのか
     
空襲の音が
近づいてくるという
介護施設
ベッドの下の
老婆
     
薄れていく
記憶を辿って
老婆は語る
遺骨のない
息子の命日