戦争がまた始まった  計9首

自由を守る
という
口実で
自由を
奪おうとしている
      


稲本 英
危機が
あおり
作られている
冷静に見る
心が眠らされている
        


 叶 静游
戦場に
行かない
人たちが
戦争を
始める
   


 小久保 達
相手の過ちを
正そうと
起こす戦争が
取り返しのつかぬ
新たな過ち
   風葉
戦争が、また、始まる
挨拶をかわすように
通勤電車に乗るように
目覚ましが鳴るように
戦争が始まる
        


いぶやん

気に入らない奴は
武力で潰す
二十一世紀は
弱肉強食の時代に
逆戻りしたか
        


のびた
大きな国のエゴが
多勢の人を
狂わせて
戦いに
かりたてました
     


おぎのいずみ
戦争という
愚かな選択肢がなければ
反戦など
唱えなくても
いいのに      


仁尾

詠んでも
祈っても
開戦した
それでも
それでも
   


森下雨音